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採用難を断ち切る手段は
「人材価値を引き上げる仕組み」の構築
ー「採る力」に頼らず、優秀層を引き寄せる組織へ

公開日: 企業イベント

与えられた採用目標数を追いかけ、母集団形成に奔走する中で「なぜ採用数が伸びないのか」。人事担当者が直面しているこの問いに対し、多くの企業は採用広報の強化や求人媒体の追加という「入口の施策」で解決を図ろうとします。
しかし、その投資対効果は、本当に最大化されているでしょうか。

採用難の正体は、労働人口の減少などといった「外部環境」だけにあるのではなく、時代に即していない組織の構造そのものにあるのかもしれません。
組織が「人を惹きつける磁力」をどこで失っているのか。
本コラムでは、その根本的な要因と、人事が果たすべき役割について掘り下げていきます。

キャリア観の変容 ― 「会社」から「自分」へ

現代の採用市場を語る上で避けて通れないのが、個人のキャリア観の劇的な変化です。
かつての終身雇用・年功序列といった雇用システムでは、企業が社員の人生を丸抱えし、社員は「会社の成長」に自分の未来を預けていました。
しかし、企業と個人の関係が「依存」から「選択」へと変化している今、候補者は単なる安定ではなく、「自分の市場価値が上がる企業」を求めるようになっています。
ここで注目すべきは、採用市場における「情報のパワーバランス」の変化です。

≪以前≫
企業が「成長できる環境」と発信すれば、候補者はそれを信じるしかなかった。


≪現在≫
SNSや口コミサイトにより、現場のリアル(研修の形骸化や放置)を入社前に「裏取り」できるようになった。

こうした情報の透明化により、企業と候補者の間に「致命的な認識のズレ」が生じています。

≪企業の主張≫
「今までの経験を活かせる業務内容」や「福利厚生」といった条件面のアピールに終始。


≪候補者の本音≫
その会社での時間が「自分の市場価値」をどれほど高めるかをシビアに見極めている

この不安定な時代において、真の安定とは「会社が潰れないこと」ではなく「いかなる環境変化にも対応できる、本質的な実力を身につけること」です。育成に投資せず、現場任せにしている企業は、候補者から「自分の時間を投資する価値がない場所」として選択肢から外されてしまっているのが現実なのです。

採用投資を無効化する「成長の属人化」

採用目標が未達になると、多くの現場では「母集団が足りていない」という結論に至り、採用広告費の増加や採用にあたっての必須条件の引き下げなどに走ります。
もちろん、これらは採用の「入口」を広げる上で欠かせない重要な施策です。
しかし、採用難の本質的な原因である「人材価値を引き上げる仕組み」が欠如している場合、それらの施策は、期待する効果を十分に発揮できません。なぜなら、採用力は、その土台があって初めて最大化されるものだからです。

≪人材価値を引き上げる仕組みがある企業≫
「業界経験や特定のスキルが多少足りなくても、自社の教育プログラムで3ヶ月あれば戦力にできる。ターゲットを広げて採用しよう。」


≪人材価値を引き上げる仕組みがない企業≫
「教育プログラムが整っていないため、手放しでも自己成長を遂げてくれる人材を求めている。自律的に動ける優秀な人を採用したい。」

後者のように、社員の成長を個人の資質に依存する(=成長が属人化している)企業は、「教えなくても勝手に育つ人材」という極めて狭いターゲットを他社と奪い合うことになります。この自走できる人材への執着が採用基準を過度に押し上げ、自ら採用難を加速させています。

さらに、企業が求める優秀な人材ほど、組織の状況を一番シビアに見極めています。「教育が丸投げで成長効率が悪い」と判断されれば、選択肢から外されてしまいます。

その結果、以下の図のような負のループに陥ってしまいます。

採用の「入口」をいくら広げても、組織という「器」の中で人が育つ再現性がなければ、その投資は「採る」だけで終わる一方的なコストになってしまいます。こうして、せっかく高い採用コストを払って獲得した人材も、成長の実感を得られぬまま組織を去っていくという悪循環を招くのです。

人事の本質は「人材価値の設計者」であること

それでは、こうした事態を防ぐために人事が果たすべき役割とは何でしょうか。
これまで人事の仕事は、不足した人数を外部から調達する、いわば「調達担当」としての側面が強かったかもしれません。しかし、人事に求められるこれからの役割は、単なる欠員の補充ではありません。企業が選ばれる理由となる「人材価値を引き上げる構造」を設計し、個人の市場価値を保証することにあります。

現代における最強の「採用磁力」となるのは、具体的で再現性のある成長のロードマップを提示できることです。これは、「入社すれば成長できる」という抽象的なものではありません。「いつまでに、どのような経験を積み、どんな能力を手にできるのか」という確かな道筋を設計し、公言すること。この設計図があるからこそ、候補者は自分の未来をその組織へ投資することを決断できるのです。

「成長設計=採用力=育成力」という三位一体の構造を築くことが、人事に求められる真のミッションです。
入社という「点」を追うことではなく、入社から活躍、そして価値の向上という「線」を設計することにシフトしなければなりません。
「採る力」を磨く前に、まずは「人材価値を引き上げる仕組み」を整える。この順序の転換が、ターゲット層を広げ、結果として採用コストを下げながらも、母集団の質を劇的に高める最短ルートになります。

「人材価値を引き上げる仕組み」で解決する採用難

持続可能な成長を実現している企業は、採用を「外から能力を借りてくる行為」ではなく、「内部で価値を増幅させるためのきっかけ」と捉えています。
人材価値を引き上げる仕組みのある組織では、たとえ市場に完璧な人材がいなくても、可能性を秘めた人材を採用し、持続的な成長を牽引していく中核人材へと引き上げることができます。

採用難という壁は、単なる外部環境の悪化ではなく、これまでの「条件で人を選別する立場」から「人に選ばれる組織を作る立場」へと、人事が脱皮するためのポジティブな試練です。
「人が採れない」と嘆くのではなく、「どうすればこの会社は、どこよりも人を成長させられるか」を議論していくことが不可欠です。

採用課題の解決口は、求人サイトのキャッチコピーやアルゴリズムの中にはありません。それは、企業の「人を活かす構造」の再設計にあります。
人事が「採用担当」から「人的資本の価値最大化を担う推進役」へと変貌を遂げた時、採用難で悩むことはなく、持続的な成長サイクルが回り始めます。

採用力とは「組織の底力」に比例します。
どんなに高い採用コストをかけても、社員を戦力に変える育成の構造がなければ、人は定着せず組織は強くなりません。
逆に、人を育て、価値を引き上げる仕組みを磨き続ける組織には、その成長環境を求めて、自然と志の高い人材が集まってくるのです。

この視点へ転換できた時、今まで見えていなかった「次の一手」が見えてくるはずです。

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