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ご褒美のその先へ
-- 報奨旅行が生み出す“新しい気づき”と成長循環

公開日: 企業イベント

企業にとって「報奨旅行」は長年、成果を称える象徴的なイベントでした。
しかし、人的資本経営やSDGsへの注目が高まる今、単なる慰労や娯楽で終わらせることに疑問を抱く経営者や主催者が増えています。
果たして報奨旅行は“ご褒美”だけで十分なのでしょうか。

本コラムでは、報奨旅行を「成長の起点」として定義する新しい視点をご紹介します。
改めて、報奨旅行の現状と参加者心理を整理することで、その新しい価値が見えてきます。

報奨旅行の“今”を見つめ直す

報奨旅行は、長年にわたり企業文化の一部として根付いてきました。営業成績や業績達成者を称える「ご褒美」として実施され、参加者のモチベーションを高め、社内の一体感を醸成する役割を果たしてきたのです。
達成者にとっては努力の結晶を実感できる場であり、企業にとっては成果を称える象徴的なイベントでした。

しかし近年、報奨旅行の位置づけは大きく変わりつつあります。
人的資本経営やSDGsへの関心が高まる中で、「ただの娯楽や慰労で終わらせたくない」「会社の経費を投じる以上、参加者の成長や学びにつなげたい」という主催者の声が増えています。さらに、コロナ禍を経てリアルな体験の価値が再認識され、報奨旅行を“ご褒美”にとどまらず、社員の成長や組織の未来を形づくる場へと位置づけ直す企業も増えてきました。

つまり、報奨旅行は「成果を称える場」から「成果を称えつつ、新しい挑戦や気づきを与えるはじまり」へと、その役割を進化させつつあるのです。

参加者心理に潜む“ご褒美の力”

報奨旅行の本質を理解するには、参加者の心理に目を向ける必要があります。
まず、参加者は「ご褒美」への期待と高揚感を抱いて旅行を心待ちにします。表彰等で勝ち取った非日常の体験や参加者同士の交流は、達成感を強く実感させるものです。
さらに、現地での文化体験や人との出会い、ものづくり現場の見学などを通じて、参加者は予期せぬ学びや新しい視点を得ることができます。これは単なる観光や慰労にとどまらず、偶発的な「気づき」として心に残り、仕事への姿勢に影響を与えるのです。

心理学者フレドリクソンの「拡張-形成理論(Broaden-and-Build Theory)」によれば、楽しい体験や高揚感は人の視野を広げ、新しい学びや気づきを生み出す力があるとされています。報奨旅行はまさにその理論を体現する場であり、参加者に「満足感」と「成長実感」を同時にもたらす可能性を秘めています。

結果として、「次も表彰を目指したい」「学びを業務に活かしたい」という前向きな姿勢が生まれ、ご褒美から成長へとつながるモチベーションの好循環が形成されるのです。

拡張-形成理論とは?
ポジティブな感情(喜び、関心、満足、愛など)は、単に気分を良くするだけでなく、私たちの思考や行動の幅を「拡張(broaden)」し、その結果、新しいスキルやリソースを「形成(build)」していくとされます。

具体的な効果は次の通りです。

・視野の拡張(Broaden)
創造性や好奇心を高め、新しいアイデアや視点を受け入れやすくする


・リソースの形成(Build)
新しい知識、社会的つながり、精神的なレジリエンス(立ち直る力)などを蓄積し、将来の課題に立ち向かう土台となる

報奨旅行の新しい価値:ご褒美×成長の両立

従来の報奨旅行が持つ“ご褒美”としての価値は依然として高いものです。
「表彰された達成感」「非日常の体験」「仲間との絆」などは、参加者にとって大きな満足感をもたらします。

しかし、そこに「成長の実感」を加えることで、報奨旅行はさらに大きな意味を持ちます。
偶発的な学びや新しい気づきが加わることで、参加者は「自分が会社に貢献できている」「次も頑張りたい」という前向きな気持ちを持ち、組織全体の活性化につながります。

このプロセスは次のように整理できます。

報奨旅行に参加 → 新しい気づき・刺激を得る → 次の挑戦へのモチベーション向上 → 頑張りが成果につながるのサイクル

このサイクルが回り始めることで、報奨旅行は単なる慰労ではなく、企業の人材育成・組織活性化に直結する投資へと変わります。

主催者にとってもメリットは大きいでしょう。

・経営層に対しては「人的資本経営の一環」として説明でき、予算獲得の根拠を強化できる
・参加者にとっては「ご褒美と成長の両立」を実感でき、モチベーションの持続につながる
・組織にとっては「人材定着率の向上」「リーダー育成」「次世代人材の発掘」といった成果を得やすくなる

つまり、報奨旅行を「ご褒美の場」から「成長を設計する場」へと再定義することが、主催者側にとって最大の価値となるのです。

研修要素を取り入れる意義

こうした“ご褒美と成長の両立”を実現するために有効なのが、報奨旅行に「研修旅行」の要素を取り入れることです。
例えば、現地企業の視察や異文化交流プログラム、社会課題に触れる体験などを組み込むことで、参加者は非日常の楽しさと同時に、学びや気づきを得ることができます。

・現地視察
海外特有のビジネスモデルや生産現場を体感することで、刺激と感性を養い、新しい発想につながるヒントを得る。


・異文化交流
現地の人々との交流を通じて、多様な価値観に触れ、グローバルな視野やコミュニケーション力を養う。


・社会課題に触れる体験
環境保全活動や地域貢献プロジェクトに参加することで、SDGsや社会的責任への理解を深め、企業人としての意識を高める。

このような体験は、単なる観光や慰労では得られない「気づき」をもたらし、参加者にとって「ご褒美でありながら成長の場」という二重の価値を提供します。さらに主催者にとっても、報奨旅行を「人材教育の一環」として位置づけることで、経営層への説明や投資効果の訴求がしやすくなるのです。

まとめ:ご褒美は終わりではなく始まり

報奨旅行は、これまで「成果を称えるご褒美」としての役割を果たしてきました。
しかし今後は、「ご褒美であると同時に、新しい出会いや気づきを得るスタート地点」として設計することで、参加者は満足感と成長を両立し、企業は人材育成・組織活性化という経営的成果を得ることができます。

報奨旅行の価値を再定義し、企業と参加者双方にとって“意味ある体験”を創出することが、これからの時代に求められる報奨旅行の姿であり、主催者が経営層に示し、次の一歩を踏み出すための最大の意義ではないでしょうか。

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