危機管理(リスク管理)
海外出張において、土日祝の緊急対応はもちろん、情報配信から渡航データによる出張者の位置把握、トラブルサポート、安否確認まで、ニーズに合った危機管理をご提案します。
海外出張時の危険情報をいち早く察知することは、事態に巻き込まれることを防ぐため、また、万が一巻き込まれた場合でも被害を最小限に抑えるために、極めて重要です。
しかし有事の際は、誤情報が拡散されやすく、さらに有事に巻き込まれた際に、出張者自身では情報の信憑性を判断するのは困難です。
そのため、予め情報収集する方法を定めておくことが大切です。
今回は、危険情報の収集方法と見極め方のポイントを解説していきます。
有事の際、出張者の安全を守るための第一歩は、迅速かつ正確な情報に基づいた意思決定です。危険情報には、「即時性」と「正確性」の両方が不可欠であり、これらはどちらか一方だけでは意味がありません。
「即時性」とは、文字通り情報をできるだけ早く認知することです。有事の際には、状況が刻一刻と変化し、1分1秒を争う状況になることが少なくありません。例えば、テロ事件発生時や自然災害の初期段階においては、数分の情報遅延が、避難経路の選択肢を奪い、出張者が危険に巻き込まれるリスクを大幅に高める可能性があります。
企業として、この即時性を担保するためには、単に情報を早く受け取るだけでなく、その情報をいかに早く、そして適切に、出張者や関連部署に共有できるかも問われます。
「正確性」は、特に緊急事態下で誤情報やデマが急速に拡散されるリスクを考慮すると、即時性と同等、あるいはそれ以上に重要となる場合があります。誤った情報に基づいて行動すると、かえって危険な状況に身を置いたり、不必要な混乱を引き起こしたりする可能性があります。
信頼できる情報源を活用し、情報を多角的に確認して正確な情報を得ることが、冷静な判断と適切な行動を促す上で重要です。
現代社会は情報過多の時代であり、特に有事の際には、SNSやインターネット上で真偽不明な情報が溢れています。中には、善意で拡散された誤情報もあれば、意図的に混乱を招こうとするデマやフェイクニュースも含まれています。出張者だけでなく、企業としても、これらの情報に惑わされないための「情報リテラシー」を向上させることが不可欠です。
情報に惑わされないためには、以下の点を冷静に、そして多角的にチェックする習慣を身につけましょう。
情報を見た際にまず確認すべきは、その情報が誰によって、どこから発信されたものかです。政府機関(外務省など)、在留国・地域の日本大使館・総領事館、現地の政府機関、国際機関(国連、WHOなど)、または信頼性の高い主要メディア(大手新聞社、通信社、公共放送など)からの情報は、その時点での公式見解や確認された事実に基づいている可能性が高いです。一方で、個人ブログ、匿名のSNSアカウントなどは、情報の信憑性が極めて低いと判断すべきです。安易に信じたり、転送したりすることは避けましょう。
一つの情報源からの情報だけで判断せず、必ず複数の信頼できる情報源で同じ内容が報じられているかを確認する習慣をつけましょう。
例えば、あるニュースサイトで報じられた内容が、他の主要メディアや、政府の公式発表でも裏付けられているかを確認します。複数の信頼できる情報源が一致している場合、その情報の正確性は高いと判断できます。逆に、特定の情報源でしか報じられていない情報や、情報源によって内容が大きく異なる場合は、慎重な姿勢で接しましょう。
SNSは情報の伝達速度が速く、有事の際には非常に有効な情報収集ツールとなりえます。しかし、先にお伝えした通り、同時にデマや誤情報が最も拡散されやすい媒体でもあります。
感情を煽るような言葉や、過剰に恐怖を煽る内容は、冷静な判断を妨げる意図があるかもしれません。また、SNSに投稿される画像や動画の真偽も必ず確認しましょう。過去の災害の映像や、AIによって生成・加工された偽の画像・動画が、まるで現在の状況であるかのように出回ることもあります。無責任な拡散は、デマを広げることに加担することにもなりかねませんので気をつけましょう。
有事の際に冷静な判断をして、適切な行動を取るためには、信頼できる情報源を事前に確保し、情報収集・共有の仕組みを確立しておくことが極めて重要です。企業として、公式のSNSアカウントや信頼できる情報源を活用するなど、「即時性」と「正確性」の両方の要素を兼ね備えた情報認知手段を確保することが求められます。
この章では具体的な準備と対策についてご紹介します。
「たびレジ」に登録することで、渡航先の緊急事態発生時に、現地の日本大使館や総領事館から迅速な安全情報や避難指示などの連絡を、登録したメールアドレスに受け取ることができます。また、緊急時には安否確認の連絡も届きます。社員の海外出張時には「たびレジ」への登録を徹底しましょう。
CHECK
「たびレジ」への登録
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/
政府機関(外務省など)、在留国・地域の日本大使館・総領事館、現地の政府機関、国際機関(国連、WHOなど)、または信頼性の高い主要メディア(大手新聞社、通信社、公共放送など)の公式SNSアカウントを事前にフォローし、通知設定をオンにしておくことで、リアルタイムで公式な情報を得ることが可能となります。出張者にも、自身の出張先の大使館等の公式SNSアカウントをフォローさせることを推奨しましょう。
情報収集を効率化し、即時性を高めるためのツールを導入・整備することも有効です。危機管理に特化した企業の提供するサービスは、検証済みの危険情報などがリアルタイムで配信されるなど、情報収集の手間と信頼性を高めます。緊急情報を提供する専用のアプリケーションや、危機管理専門の会社が提供する情報サービスなどが挙げられます。
情報を受け取るだけでなく、それをいかに迅速かつ正確に出張者本人や社内の関係者に共有するかが重要です。また、出張者が自ら情報を探す手間を省き、必要な情報が自動的に届く仕組みを検討することで、よりスムーズな危機対応が可能になります。
・社内連絡体制の整備と定期的な訓練や周知
有事の際に連絡を取るべき担当者や部署を明確にし、連絡先の最新化、緊急連絡網の整備を徹底しましょう。また、これらの連絡体制が機能するかを確かめるため、定期的な訓練や周知を継続的に実施することが不可欠です。
・情報伝達システムの導入
収集した危険情報を自動的に該当の出張者に流すシステムの導入を検討しましょう。これにより、出張者は緊急時に自ら情報を探しに行かなくても、必要な情報をリアルタイムで受け取れるようになります。
有事の際には、正しい情報をいち早く入手し、誤情報に惑わされないことが何より大切です。そのためには、日頃から信頼できる情報源を企業として備えておくことが必要です。万が一の時も、落ち着いて行動できるよう、日頃から準備を進めておくことが安心につながります。
危険情報の収集など海外出張の危機管理体制に課題を感じている企業様は、お気軽にご相談ください。