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「保険加入=安心」だと思ってませんか?
海外出張特有のリスクから出張者を守るには

公開日: 海外出張(管理者向け)

海外出張の際、多くの企業が出張者の万が一に備え、海外旅行保険に加入させていることでしょう。しかし、その保険で、本当にあらゆる有事に対応できると言い切れるでしょうか。
本コラムでは、国内と海外の有事対応がいかに異なるか、それが海外旅行保険だけではカバーしきれないリスクにどう繋がるのかを解説します。

国内とは異なる『海外特有の有事』とは

海外で出張者を襲うリスクは、国内で想定される災害や事故とは性質が異なります。
海外出張で想定される有事の一例として、以下のような事態が挙げられます。

・予期せぬ暴動やテロ
現地の政情不安や社会的な不満が突発的なデモや暴動に発展し、出張先が危険地帯と化すケース。


・大規模な自然災害
地震、洪水、台風など、国内とは異なるインフラの脆弱性を持つ地域での災害。


・感染症のパンデミック
新種の感染症が流行し、医療体制が未熟な地域で出張者が孤立するケース。


・不当な拘束や誘拐
治安の悪化や特定の国籍に対する偏見から、出張者が犯罪に巻き込まれるケース。

このような事態に直面した際、国内と同じ感覚で対応しようとすると、さまざまな『壁』に阻まれます。

・情報の混乱と不確実性
現地メディアの報道は偏っている可能性があり、SNS上にはデマが飛び交うことも少なくありません。正確な情報をいかに早く入手できるかが、初動対応の成否を大きく左右します。


・通信・交通インフラの脆弱性
大規模災害や社会不安が発生した場合、通信網が途絶えたり、交通機関が麻痺したりすることは珍しくありません。これにより、情報伝達や移動が著しく困難になることがあります。


・法制度・治安状況の違い
渡航先の国の法制度や文化、治安状況を理解していなければ、知らず知らずのうちにデモや暴動などの危険に巻き込まれたり、不当な拘束を受けたりするリスクがあります。


・言語の壁と土地勘の欠如
現地語での情報収集やコミュニケーションが困難な場合、適切な判断が遅れる可能性があります。また、土地勘がないことで、避難経路の選択や安全な場所への移動が困難になります。


・国境を越える移動の困難さ
隣国への避難が必要な場合でも、国境管理の厳しさやビザの問題など、国境を越える移動そのものが大きな障壁となることがあります。

これらの「壁」は、単なる不便さを超え、時に出張者の命に関わる重大なリスクとなりえます。そして、国内と海外でのこの違いが、海外旅行保険だけでは対応しきれない事態を引き起こす原因となるかもしれません。

「安心」の落とし穴!海外旅行保険がカバーしない重大リスク

海外旅行保険は、出張中の病気や怪我の治療費、手荷物の紛失、フライトの遅延など、金銭的な側面での「安心」を提供してくれる強力なツールです。しかし、企業の危機管理担当者として知っておくべきは、保険がカバーする範囲には明確な限界があり、危機発生時の「安全確保」や「緊急避難」など物理的な行動を伴う側面に対しては、その役割が大きく異なる傾向にあります。

上記で述べた海外特有の「有事の現実」を背景に、保険だけでは対応が困難、あるいは全くカバーされない可能性があるケースとして以下が挙げられます。

・大規模災害やテロ発生時の緊急避難支援
交通機関の麻痺や通信網の途絶により、身動きが取れない出張者の避難経路確保や、現地での安全な滞在場所の確保は、保険の金銭補償だけでは解決が難しいとされており、企業としての具体的な支援体制が問われます。
例えば、大規模地震でインフラが寸断されたり、テロ攻撃で都市機能が麻痺したりした場合、保険会社が直ちにヘリコプターや専用車両を手配し、安全な場所へ誘導してくれるわけではありません。あくまで事後的な治療費や物品損害に対する補償がメインであり、その場で出張者の命を救うための「手配」や「調整」は通常含まれないのです。


・政情不安や暴動発生時の迅速な国外退避支援
不測の事態で危険区域に取り残された場合、緊急チャーター機の手配や安全なルートでの国境越えなど、物理的な支援が必要となることがあります。これらは一般的に保険の補償対象外であることがほとんどで、企業が自ら退避手段を確保する責任が生じることがあります。
特に、戦争、内乱、武装蜂起といった免責事項が適用される場合、危険地域からの退避費用は一切カバーされません。退避勧告が出ても、航空便が停止したり、空港へのアクセスが困難になったりする中で、企業は自社の責任において、どのように従業員を安全に帰国させるかという問題に直面するかもしれません。


・情報収集と安否確認の遅延
危機発生時、現地の正確な情報をリアルタイムで把握し、出張者の安否を迅速に確認することは極めて重要です。
一般的に保険会社はこれらの情報提供や安否確認サービスを提供していません。公的機関の情報も海外では混乱しがちで、独自の情報源や確認手段がなければ、出張者の状況を把握するまでに時間がかかってしまい、初動対応の遅れにつながる可能性も考えられます。


・精神的ケアの不足
危機的状況を経験した出張者への心理的ケアやカウンセリングは、金銭的な補償では賄えない重要なサポートです。保険の範囲外であることが多く、適切なフォローアップがなければ、出張者の心身に長期的な影響を残し、今後の業務継続やキャリア形成にも影響を及ぼす可能性も指摘されます。

このように、海外旅行保険はあくまで「事後的な金銭的補償」が中心であり、有事発生時の出張者の命を守る「行動」そのものに直接的な関与は期待できないという理解が重要です。

出張者を守る危機管理体制

海外旅行保険が提供するのは、あくまで「事後的な金銭的補償」が中心であり、有事発生時の出張者の命を守る「行動」そのものには直接関与しません。このような保険の限界を補い、有事の際に必要となるのが、情報収集から安否確認、緊急避難までの包括的な危機管理体制です。

事前にいかに万全な準備を行い、迅速な初動対応を心がけても、実際に危険エリアから脱出したり、脱出が難しい場合に現地で最大限の安全を確保したりする措置がなければ、出張者の命を守ることは極めて困難になるでしょう。
有事の際には、社会全体が混乱し、平時と同じインフラを利用することが困難になるため、事前に確保された緊急避難手段や現地での安全確保の計画が重要です。

しかし、実行手段があっても、出張者が「どのように使えばよいのか分からない」「どこに連絡すればよいのか分からない」という状況では、その手段は十分に機能しません。さらに、情報の把握が遅れたり、管理者との連携がスムーズに取れていなければ、実行手段を活用するタイミングを逃してしまう可能性もあります。出張者が迷わず迅速に動けるよう、具体的な行動指針と連絡体制がシームレスに連携していることが不可欠と言えるでしょう。
そして、自社だけでの対応には困難な場合は、危機管理専門サービスのアウトソーシングも有効な選択肢となります。

最後に

海外旅行保険は、出張者の安全を守る上で不可欠なツールであり、その重要性は言うまでもありません。しかし、海外出張の現場では、保険だけではカバーしきれない、緊急時の安否確認や避難といった物理的な対応や情報収集に加え、出張者に対する精神的サポートが求められる場面が多々あります。

貴社の海外出張者は、万が一の際、本当に守られる体制にあるでしょうか?
ぜひこの機会に、海外旅行保険だけでは補えないリスクへの備えの強化を検討してみませんか。

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